2024.05.07

ファムトリップとは？台湾人インバウンド観光誘致で成功するには？

国、行政、自治体、観光協会等がインバウンドプロモーションを実施する方法の一つとして、「ファムトリップ」が注目されています。

・ファムトリップ(FAMツアー/ファムツアー）とは？
・台湾人ンバウンド観光誘致におけるメリットとデメリット
・台湾人訪日観光客の集客を成功させるためには不可欠な要素とは？

この記事では2015年より台湾人インフルエンサーを招聘し、ファムトリップの企画と実施を成功させてきたフレンド台湾が「ファムトリップ」、「ファムツアー」について解説します。

ファムトリップとは？

インバウンド観光誘致におけるファムトリップ（ファムツアー）とは、英語のFamiliarization(ファミリアライゼーション) という言葉から来ており「慣れ親しませること、熟知させること」いう意味がある言葉と、トリップ（Trip：旅行）またはツアー(Tour:小旅行)の組み合わせであり、人気インフルエンサーなどに現地視察をしてもらう旅行を通じて、地域の観光コンテンツの認知度を高める施策のことです。下見招待旅行やモニターツアーとも言われています。

具体的には在日の台湾人インフルエンサーや台湾在住の台湾人インフルエンサーを招聘し、各地域の観光コンテンツ(観光、体験、食、宿泊、文化、歴史など)を実際に体験してもらい、台湾人の目線で、実際に体験したツアーを彼らのSNSやブログ、ユーチューブチャンネルを用いて台湾へ生の声で情報発信することで台湾人訪日観光客集客に繋げていくことができます。

台湾人インフルエンサーを招聘したファムトリップのメリットデメリット

メリット

1.台湾人の旅行情報収集源にリーチできる

台湾人は商品やサービスを検索する場合、62.3%の人が検索エンジン、40.6%の人がソーシャルネット、39.1%の人が口コミを使用しています。

人気のインフルエンサーに彼らの目線で日本の観光コンテンツに関する情報をSNSで発信してもらうことが台湾人観光客誘致に有効であると考えられるます。

次に台湾で使用されるソーシャルメディア(SNS)は下記の通りとなっています。

台湾ではFacebookの人気が非常に高く2024年の統計でネットユーザー中85.1%がFacebookのアクティブユーザーとなっています。

そのためフォロワー数の多い人気のインフルエンサーにファムツアーで体験した内容をFacebook投稿してもらうことで、旅行情報収集している台湾人にリーチ可能です。

Facebookの投稿内に、観光地紹介の公式サイト等へのリンクを設置するすることもでき、台湾のSNSユーザーに対して、日本の観光コンテンツを直接的に認知してもらうことができます。

Facebookと組み合わせて、ブログ記事やYouTube動画を用いて情報発信することにより、さらに効果的な情報発信が行えます。それらは検索エンジンを通して能動的に情報収集している人にリーチ可能です。

2.台湾人の生の声

ファムトリップのメリットは、招待した外国人（台湾人）が実際に体験したツアーやサービスの生の声を、台湾人の視点から聞くことができる点です。これにより、日本人目線ではなく招待した方の国の目線で、実際の体験を通じて得られた感想や印象を直接発信してもらうことができます。

この生の声は、ブログやSNSなどを通じて発信され、集客に繋がるだけでなく、体験者がどのような点を魅力的に感じたのかを知ることができ、今後の戦略や立て方がより明確になり、効果的な施策を行うことが可能になります。

3.費用対効果と実施の容易さ

インバウンドプロモーションに使用できるメディアとして、テレビ広告、新聞広告、公共広告（電車、バス内等の広告）などが挙げられます。

例えば、台湾テレビ局のテレビCMの費用は10秒間あたり6,000～50,000台湾ドルが相場となっており、日本円で約28,000円～約230,000円の費用がかかります。（為替レートは1台湾ドル＝4.7円で計算）平均的なテレビ局で、通常の時間帯の場合、平均約20,000台湾ドルとなり、10秒間で日本円で約10万円の計算となります。

仮に1日10分間(20秒×30回)で30日間放送した場合、1日600万円、1ヶ月で約1億8千万円の費用がかかる計算となります。なお、これらの費用にはTV CM制作費用は含まれていません。広告作成費用、広告費用、ディレクション費用等を含めるとさらに金額が大きくなります。

さらに台湾ではテレビのチャンネル数が200以上あるため、広告効果も分散してしまいます。

また、台湾のテレビ広告に広告を入稿するため、信頼のおける代理店を見つける必要があり、実施の難易度は高くなります。

台湾のメディア事情と費用相場について詳細は下記の記事を参照ください。

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台湾の広告メディア事情-費用相場を紹介

それに対しインフルエンサーにSNSで情報発信してもらうのにかかる費用は、旅費を含めても、100万円から1,000万円程度で実施することが可能です。テレビ広告等と比較して明らかに少ない予算でプロモーションの実施が可能です。

またインフルエンサーの招聘は、インフルエンサー個人や専属事務所との契約となるため、テレビ広告を使用した場合よりも、実施の難易度は低く実施が容易であると言えます。

インフルエンサーにより発信された情報は、テレビ広告や新聞広告、Google広告などとは異なり、基本的にはインターネット上に残り続けるため、継続的な広告費用が不要で持続性が高く、投資効率も高いというメリットがあります。

デメリット

1.インフルエンサーの質

インフルエンサーを起用したファムツアーは招聘するインフルエンサーの質によって事業の結果が大きく左右されます。適切なインフルエンサーを選定することができれば、費用以上の効果を発揮し、不適切であれば、ほぼ効果が得られないこともあります。

インフルエンサーのこれまでの発信内容や、フォロワー層、コラボ経験等を基に適切なインフルエンサーを選定することが最大の課題となります。

2.情報発信の効果測定

ファムツアー（ファムトリップ）のデメリットは情報発信の費用対効果が見えにくい点があります。インフルエンサーが発信した情報から実際にどれだけの台湾人観光客誘致に繋がったのかを測定するのは容易ではありません。

但し、SNSによる情報発信では下記の数値を得ることができます。
例えばFacebook投稿では、下記の図のようにリーチ数、「いいね」などリアクション数、シェア数が測定できます。ブログ記事ではページビュー数を測定でき、YouTube動画では再生数の測定が可能です。

こうした数値は、SNS発信後に一定期間経過後に測定する必要があり、その都度インフルエンサーに確認する必要があります。

台湾人インバウンド観光誘致で成功するには？

台湾人インバウンド観光誘致で成功するには下記のポイントを押さえることが重要です。

1.インフルエンサー選定

前述のとおりインフルエンサーの選定が事業成功の鍵を握ります。インフルエンサーの選定の基準として、インフルエンサーのフォロワー数だけでなく、フォロワー層の把握が重要です。男女比、年齢層をインフルエンサーから提供してもらうことができるでしょう。

また、インフルエンサー主に発信しているテーマについても確認する必要があります。通常インフルエンサーはコスメ、グルメ、ショッピング、スポーツ、旅行、趣味、学習などそれぞれのテーマを中心としてSNSを運営しています。自社のプロモーション内容とインフルエンサーの発信内容が一致することで、ターゲットとするユーザーへアプローチすることができます。

2.キーワード、アピールポイント、NG内容、リンクのURLの指定

インフルエンサーに投稿内容を準備してもらう前に、理想的にはファムトリップの前に投稿内容に含める必要のあるキーワード、アピールポイント、NG内容（含めて欲しくない内容）、リンクのURLの指定し、指示しておく必要があります。

インフルエンサーのお任せにすると、投稿内容にそれらが含まれていない可能性もあり、プロモーション効果に直接影響を及ぼします。例えば、公式サイトへのリンクを指定していないと、せっかくフォロワーにリーチしても、さらなるアクションを起こしてもらい難くなります。

3.レポート提出とアンケート

インフルエンサーには投稿後一定期間経過後にレポートを提供してもらうことで、事業成功へとつなげることができます。具体的にはインプレッション数、リーチ数、リアクション数、シェア数、ページビュー数、動画再生回数などです。

これらを把握することで、効果を測定するだけではなく、次回への対策を施すことができます。

さらにファムトリップ実施後にインフルエンサーにアンケートをとることも有効です。台湾人または他の国のインフルエンサーがファムトリップを通じて発見したこと、外国人目線から感じた良かった点や改善してほしい点などをヒアリングすることができます。そのような生の貴重な声を今後の対策への結びつけることができます。