2023.08.02 2024.04.30

【2023年春季】台湾訪日インバウンド消費傾向と特徴宿泊選択の基準とは?

記事の要点

台湾からの訪日旅行者は2023年春季の訪日外国人旅行消費額で最も大きな割合を占めています。
台湾からの訪日者の消費の中で、購物代が最も高く、6600億円を費やしています。
一人あたりの旅行支出も、台湾が他の国と比較しても高い水準にあり、平均で176,801円を消費しています。
台湾からの訪日客の平均滞在日数は5.5日であり、これは他の多くの国々と比較しても長い期間です。

1. 台湾からの訪日者のインバウンド消費貢献度

台湾からの訪日旅行者は日本の観光業にとって非常に重要な存在であり、2023年の春季(2023年4-6月期)における訪日外国人旅行インバウンド消費額で最も大きな割合を占めています。台湾の旅行者は合計で1兆7390億円を日本の経済に貢献し、全体の構成比は14.4％に達しました。これは、他の国や地域、例えば米国（1兆7330億円、14.4％）、中国（1兆5150億円、12.6％）、韓国（1兆4290億円、11.9％）と比較しても最大の貢献でした。

【表1：2023年春季4-6月期訪日旅行者の消費貢献度】

地域	消費額(億円)	構成比(％)
台湾	1,739,000	14.4
米国	1,733,000	14.4
中国	1,515,000	12.6
韓国	1,429,000	11.9

2. 台湾からの訪日者のインバウンド消費詳細と傾向

台湾からの訪日者は、2019年と比較して23.0％増加し、その中で買い物代が最も高く、6600億円を費やしています。この金額は、飲食費（4070億円）、宿泊費（4460億円）、交通費（1640億円）、娯楽等（630億円）よりもはるかに大きく、特に他の地域と比較して買い物代が非常に高いことが特徴的です。

訪日した台湾人旅行者のインバウンド消費内容に注目すると、特に購物への支出が突出しています。この消費傾向は他の地域と比べても明確で、その他の消費項目との比較も以下の通りです。

【表2：台湾からの訪日者の消費詳細（億円）】

消費項目	金額
購物代	660,000
飲食費	407,000
宿泊費	446,000
交通費	164,000
娯楽等	63,000

3. 台湾からの訪日者の旅行支出と滞在日数

一般客1人当たりの旅行支出も、台湾が他の国と比較しても高い水準にあり、1人あたり平均176,801円を消費しています。これは、全体の平均（204,509円）に比べて若干低いものの、他のアジア諸国と比較すると高い部類に入ります。

さらに、台湾からの訪日客の平均滞在日数が5.5日であることも見逃せません。これは、他の多くの国々と比較しても長い期間で、1人当たりの旅行支出が多い一因となっている可能性があります。

台湾からの訪日者の消費傾向と特徴を総合的に考察すると、彼らが日本の観光地やショッピング施設での消費を楽しむ傾向にあることが示唆されます。この傾向は、彼らが日本の文化や製品を強く欣賞し、それを体験するために長い期間滞在することを選んでいることを反映していると言えるでしょう。

4.台湾からの訪日観光客の一泊当たりの宿泊費用

台湾からの訪日観光客は、一泊当たりの宿泊費用が他国と比較して特に低い傾向が見られました。一泊当たりの宿泊費用は、台湾からの訪日観光客で平均約1,800新台湾ドル、これは日本円で約7,852円となります。これは他の主要な出身国の観光客と比較しても、台湾人観光客の宿泊費用が明らかに抑えられていることを示しています。

【表3：各国からの訪日観光客一人あたりの宿泊費用】

国名	宿泊費用（台湾ドル換算）	宿泊費用（日本円）
台湾	1,800	7,852
韓国	2,050	8,857
香港	2,100	9,059
中国	2,600	11,164
米国	3,000	12,743

台湾人のコメント宿泊施設選択基準

・「私は宿泊施設が清潔で、地下鉄から近く、安全であればそれで十分です。浴場があると更に良いですね。」
・「旅行の一番楽しい部分は夜通しでホテルの予約サイトを見ることではないですか？（本末倒置）」
・「宿泊施設には特別にうるさくしなくても良い、清潔で交通の便が良ければそれで十分。とにかく一日中出かけているから、買い物をしたり食事をしたりするだけですから。」
・「豪華である必要はなく、日本の一晩6000台湾ドルのホテルでも、台湾の一万ドルの高級ホテルより良いです。」
・「毎回子供を連れて旅行するときに、宿泊施設を探すのにたくさんの時間を費やしますし、費用も高めです。もっと4人部屋のホテルが増えると良いですね。」

台湾人のコメントの中には、「宿泊施設は清潔で、地下鉄に近く、安全であればいい」「旅行の一番楽しい部分は夜更かしして宿泊施設を探すことではないか」、一部のユーザーは日本の3人部屋、4人部屋が少なすぎると感じています。台湾からの訪日観光客が宿泊施設を選ぶ際の基準を示すものもありました。

宿泊施設に対する基本的な要求：多くの台湾人は清潔さ、地下鉄に近い立地、安全性を重視します。また、浴場の存在はプラスポイントとなります。
予約体験の楽しみ：台湾人は旅行準備の一部として、宿泊施設の予約プロセスを楽しむ傾向があるようです。（コスパのいいものを探すのが楽しい）
活動パターン：多くの台湾人は旅行中にほとんどの時間を外出して過ごすため、宿泊施設に過度な要求を持つことは少ないようです。主な活動は買い物や食事です。
品質と価格：一部の台湾人は、適度な価格（2-3万円程度）で、台湾の高級ホテルよりも良い品質の宿泊施設に泊まることを好む傾向があります。
大人数向けの部屋の需要：子供連れの家族旅行者にとって、3人や4人用の部屋が少ないことは問題となります。これらの部屋を見つけるのは時間がかかり、費用も高くなる傾向があります。そのため、4人部屋を提供するホテルの需要があります。

宿泊業界への提案

このようなデータは、台湾からの訪日観光客に対するマーケティング戦略を立てる上で重要な指標となります。例えば、台湾からの観光客が長期滞在を好む傾向があるなら、彼らをターゲットにした長期滞在向けのパッケージやサービスを提供することで、さらなるビジネスチャンスを探ることができるでしょう。

また、台湾からの訪日観光客に対して価格と品質のバランスを重視したサービスを提供することで、さらなる需要を引き出すチャンスがあると言えるでしょう。また、台湾人が宿泊施設に求める「清潔さ」「地下鉄への近さ」「安全性」を強調したマーケティングも効果的でしょう。

まとめ

台湾からの訪日者は日本の観光業にとって重要な存在であり、その消費傾向と特徴を理解することは日本の観光業界や小売業界にとって有益です。彼らの消費パターンを把握し、彼らが好む商品やサービスを提供することで、さらなる消費の促進と訪問者満足度の向上が期待できます。これらのデータから、今後のインバウンドマーケティング戦略の策定に役立つ洞察を得ることができます。

データ

国籍・地域	１人１泊当たり旅行支出	宿泊費	飲食費	交通費	娯楽等サービス費	買物代	その他
韓国	28,200	8,857	8,071	2,490	1,862	6,909	10
台湾	31,097	7,852	7,320	2,730	1,206	11,988	0
香港	28,407	9,059	7,515	3,289	815	7,728	0
香港	42,787	11,164	7,386	3,447	775	20,015	0
米国	29,571	12,743	6,940	4,306	1,360	4,222	0

一般客１人１泊当たり費目別旅行支出（観光・レジャー目的のみ）

国籍・地域	総額	2019年比	宿泊費	飲食費	交通費	娯楽等	買物代	その他
韓国	1,429	+16.3%	458	410	130	94	337	1
台湾	1,739	+23.0%	446	407	164	63	660	0
香港	916	+2.1%	292	244	107	26	248	0
中国	1,515	-67.4%	428	287	114	29	658	0
タイ	480	+6.6%	148	115	70	15	133	0
シンガポール	403	+95.8%	151	89	50	14	99	0
マレーシア	197	+23.2%	69	45	26	7	48	0
インドネシア	225	+41.3%	80	43	30	8	64	0
フィリピン	278	+33.3%	95	63	35	14	70	0
ベトナム	243	+16.9%	77	58	23	7	78	0
インド	98	+12.9%	42	18	16	3	20	0
英国	304	+26.7%	138	70	46	11	39	0
ドイツ	197	+56.8%	93	48	30	6	20	0
フランス	259	+8.8%	101	78	39	8	33	0
イタリア	120	+21.2%	53	30	20	4	13	0
スペイン	69	-5.7%	30	16	13	2	8	0
米国	1,733	+83.7%	766	416	240	69	243	0
カナダ	292	+57.7%	125	67	50	10	40	0
オーストラリア	469	+32.4%	183	121	70	29	65	1
その他	1,085	+55.4%	443	268	165	45	164	0